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整形外科 東山礼治医師 着任のご挨拶

記事抜粋

この度、ご縁があり常勤医師として勤務することになりました。私は膝・足関節疾患・スポーツ障害が専門です。とくに足首(足関節)捻挫の後遺症に対する手術を得意としております。捻挫(靭帯損傷)は通常の治療で一時的に治癒する方が多いですが、実は足首が緩くなったまま(不安定な状態)の方が大勢いらっしゃいます。自分の足首が緩いことに気づくことが難しいため、捻挫の後遺症に苦しむ多くの方は、どうして自分の足首が痛いのか悩んでいることが多いです。適切な検査をして足首の安定性を評価し、不安定性が原因とわかれば靭帯再建術の適応があります。世界的には切れた靭帯を縫う靭帯修復術が主流ですが、残念ながら強度が正常靭帯より弱く、再捻挫したときに緩さが戻ってしまう(不安定性が再燃する)ことが欠点です。

遊離腱を用いた靭帯再建術は、十分な靭帯の強さと初期固定強度があるため、早期社会復帰、スポーツ復帰に適しております。正常範囲内の安定性に戻し、かつ長く維持することは決して簡単なことではないですが、その可能性が高いのは再建術の方だと考えております。

2013年には足関節鏡による解剖学的な靭帯再建術を学会報告し、小さい傷で手術が可能となりました(日本初)。解剖学的であるため手術後に足首が固くなる危険が少なく、バレエダンサーのような足首の可動域が大きい方にも対応が可能で、患者様には国際的に活躍されている方もおります。また再建術はもとの靭帯の状態に依存しないため、修復術後の再発例にも有効です。遺残靭帯が比較的良好に残っている方はそれも利用しながら再建術に修復術の要素を組み合わせた手技も可能です(2017年に学会報告。日本初)。稀ですが足首の3本の外側靭帯が断裂し巨大な不安定性を持つ方のために、3本の靭帯を鏡視下に再建する方法(Scopic PAC)も開発しました(2016年に学会報告。世界初で英語教科書に近日掲載予定)。

捻挫の後遺症には組織が挟まれて痛みを伴うインピンジメント症候群という病態もあります。前方、外側、後方あちこちに発生しうるもので、症状に波があり、家族やコーチなど周囲の人から理解されにくく困っている方も多くおります。衝突する骨の部分を削ることで一時的に治る場合が多いですが、前述のように隠れている不安定性を見逃すと容易な再発や他の症状で困ることもあるため、不安定性もチェックすることが重要です。後方インピンジメント症候群と足関節不安定症(足首がゆるい状態)との合併例については2010年に報告しております(日本初)。

また、足首だけでなく膝の靭帯損傷、関節鏡手術も専門にしております。近年話題となっている膝前外側靭帯(ALL)再建術を2重束ACL再建術に追加した経験を2015年に学会報告しました(日本初)。まだ議論中の話題ではありますが、スポーツ選手、全身の関節が柔らかい方などはACL再断裂のリスクが一般よりも高く、ALL再建術を追加することで再断裂率を減らす効果が期待されており、世界でもそのような報告が出ております。傷が膝の外側に増えるため、痛みをしばらく感じる方もおりますが徐々に落ち着きます。再断裂の危険をなるべく減らしたい方はALL再建術の追加を検討する余地が十分にありますので、相談にお越しください。

2009年から2年間、静岡県清水第八プレアデス(女子サッカーチーム)をサポートし、2011年より日本フットサルリーグ(Fリーグ)所属のペスカドーラ町田を北里大学整形外科としてサポートしております。術後に日本代表選手に復帰してアジア大会準優勝(2018年)に貢献した選手もおります。代表選手も多く所属するチームでの経験を皆様に還元したいと思っております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。