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緩和ケア科

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診療内容・特色

緩和ケアとは

「緩和ケア」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。「がん治療ができなくなった方への医療」「がんの終末期に受けるもの」と思っている方もまだまだ多いようです。

緩和ケアはがん治療の初期段階からがん治療と一緒に受けるケアです。

緩和ケアを受けると以下のようなメリットがあります。

  • がん治療中に経験する苦痛を伴う症状(吐き気、嘔吐、倦怠感など)が緩和され、がん治療に取り組む力が湧いてきます。
  • 患者さんやご家族の不安や心配事など心のつらさをやわらげるために緩和ケアのスタッフがお手伝いします。より専門的な治療が必要と判断された場合は心療内科などへ紹介いたします。

緩和ケアはがんと共生することを可能にします。

がんによる苦痛を和らげる緩和ケアとは

がんは日本人の死因で最も多い病気です。現在3人に1人ががんで亡くなっています。がん患者さんはがん自体の症状の他に、痛み、倦怠感など様々な身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します・「緩和ケア」はがんと診断された時から行う身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。

緩和ケアとがん治療

がんの治療に伴う苦痛(痛みや倦怠感など)の状況に応じて緩和ケアはがん治療と併せて行われます。

がん治療と緩和ケアの割合[図]

「ターミナルケア」は緩和ケアの概念の一部

ターミナルケアとはがんの終末期に行われる治癒や延命ではなく、主に痛みなどの疼痛をはじめとした身体的、精神的な苦痛の除去を目的としたケアのことです。一方緩和ケアは「がんによる身体的問題や精神的問題を抱えている患者やその家族により早期の段階から考慮するもの」と考えられており、がんによる身体的、精神的な苦痛の除去を始め、患者とその家族にとって出来うる限り最高のQOL(人生の質)を実現させるためのケアを意味します。

がん病変の治療とターミナルケアの割合[図]

がんの症状と「緩和ケア」

がんによる心と身体の苦痛をやわらげ、自分らしい生活を送れるようにするケアがあります。それが「緩和ケア」です。

がんになるとどのようなことが起きるのでしょうか。

  • ◆痛み、倦怠感などの様々な身体的症状
    痛みはがん患者の70%に見られます。
  • ◆落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛
  • ◆迫りくる「死」への恐怖
  • ◆自分の人生に対する問

緩和ケアとは、がん患者の苦痛を取り除き、患者とその家族にとって自分らしい生活を送れるようにするためのケアです。

緩和ケアの定義

  • 痛みやそのほかの苦痛となる症状を緩和する。
  • 生命を重んじ、自然な流れの中での死を尊重する。
  • 死を早めることもいたずらに遅らせることもしない。
  • 死が訪れるまで患者が自分らしく生きていけるように支える。
  • 生活の質(QOL)を向上させ、前向きに生きる力を支える。
  • がん治療の初期段階から外科手術、化学療法、放射線療法などと連携しながら緩和ケアを行う。

当院の緩和ケアの特徴

  • ①治療中の病院で緩和ケアが受けられます。
    がん治療を受けている施設で緩和ケア科と主治医が連携を取りながら緩和ケアを一緒に受けることができます。
  • ②緩和ケア病棟で集中的な緩和医療が受けられます。
    病状が急変した時も当院の緩和ケア科で迅速な対応を受けることができます。また、介護するご家族の休養などの目的で入院期間をあらかじめ決めた「休息入院」も行えます。

痛みはあなたの生きるエネルギーを奪います。
強い倦怠感はもう何もできないという無気力感を招きます。
吐き気はあなたを1日中不愉快な気分にさせます。
気持ちの落ち込みはあなたの力を奪います。

がんになった時、身体やこことの苦痛をやわらげる緩和ケアを受けてください。緩和ケアはがん治療を充実させる大切なケアです。主治医にぜひ「緩和ケアを受けたいです」とご相談ください。

担当医師紹介

坂口 貴子さかぐち たかこ

緩和ケア科科長

資格
  • 日本緩和医療学会緩和医療認定医
  • 日本緩和医療学会研修指導者
医師コメント 緩和医療は本来、がんと診断された時から開始される医療です。当科では医師、看護師、薬剤師、リハビリテーション、臨床心理士で構成されるチーム医療を行っています。がんの治療中やがんの治療を終了された患者様の身体と心の苦痛を限りなく緩和できるよう、患者様の意思を尊重し、「その方らしさ」を大切にしながら治療に努めてまいります。緩和医療についてはどのような治療を行うのか、ご不明な点があるかと思います。お気軽にご相談ください。
武田康二[写真]
武田 康二たけだ こうじ
資格
  • 日本麻酔科学会専門医
  • 日本麻酔科学会指導医
  • 厚生労働省臨床研修指導医
  • 日本ペインクリニック学会
医師コメント 痛みはなかなか他人に理解されにくい症状です。私は30年以上ペインクリニックにかかわってきました。患者さんの訴えに耳を傾け、患者さんの痛みを理解してあげることを心掛けて診察しています。痛みに悩んでいる方は是非御相談下さい。