医療法人社団公仁会 大和成和病院は、ふれあいグループの病院です。

医療法人社団公仁会 大和成和病院

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患者様向け情報

心臓の病気あれこれ

病気について

下肢閉塞性動脈硬化症(LEAD)とは

末梢の血管に生じる循環障害

私たちの体にはくまなく血液が巡っていて、酸素や栄養を細胞に送っています。この血液の通り道である血管(下肢動脈)が動脈硬化によって硬く細くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)すると血液の流れが悪くなる血行障害が起こります。

この血行障害が手の末梢の血管に生じた状態が下肢閉塞性動脈硬化症(LEAD)です。国際的には末梢動脈疾患(PAD)という言い方をしています。

発症者の多くは60代以上の男性で、喫煙が大きなリスクとされています。下肢閉塞性動脈硬化症は主に足に症状が起こる病気ですが、たかが足の問題とあなどってはいけません。その裏には、冠動脈疾患や脳血管疾患など重大な全身血管障害が隠れている危険性があるからです。実は重症化した場合の2年生存率は5割程度、中程度の症状でも5年で3割程度の予後しかありません。もし次のような症状に心あたりがあったら、すぐに病院を受診することが大切です。

症状

重症だと足が壊死してしまうことも

閉塞性動脈硬化症の症状は、進行の程度によって4段階に分けられます(フォンテイン分類)。最も軽いのがⅠ度でⅡ度、Ⅲ度と数字が大きくなるにつれて、症状が重くなっていきます。最も重いのがⅣ度です。

フォンテインⅠ度

足のしびれや強い冷えを感じる程度。皮膚も青白くなっています。ただ、こういった症状は日常的によく見られることから、下肢閉塞性動脈硬化症を発症していることに気付かないことがほとんどです。

フォンテインⅡ度

少し歩いただけで足が痛くなって歩けなくなるものの、少し休むと再び歩けるようになる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が代表的な症状です。この症状は下肢閉塞性動脈硬化症だけでなく、整形外科の病気などでも起こるため、ほかの病気と間違えてしまうこともあります。

フォンテインⅢ度

足の痛みが強くなり、夜も眠れなくなる安静時疼痛が起きてきます。足が黒く変色し、深爪や小さな傷が治りにくくなってきます。

フォンテインⅣ度

足先に血液が届かなくなり、つま先やくるぶしの外側などに、傷をきっかけにしてただれや潰瘍ができてきます。重症になると壊疽(えそ)を起こし、足を切断しなければならないケースもあります。

検査

ABI検査(上肢足関節上腕血圧非)

一般的になってきたASOの基本検査

末梢動脈の血流状態を確認する検査がABI(Ankle Brechial Pressure Index)検査です。足首と上腕の血圧を同時に測定し、その血圧差を比較してLEADかどうかを判定します。正常時では上腕より足首の血圧の方が高めですが、もし足首の血圧の方が低ければ、足の血流障害が起こっている疑いがあります。

なお、ABI検査は広く浸透してきており、現在は循環器科だけでなく整形外科や皮膚科などでも実施されています。

診断

問診や触診、ABI検査でまずは診断

治療法

薬物治療

薬で血流障害を改善する

ASOで基本の治療となるのが薬物治療です。これらの薬は血管を拡張したり、血液を固まりにくくしたりすることで血液の流れを改善し、ASOの進行や再発を予防し、自覚症状を和らげます。

使用する薬には3タイプありますが、最もよく使われているのが抗血小板薬です。治療には症状や重症度に合わせて1種類もしくは複数の薬を服用します。これらの薬には、足の血流を改善するだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を防ぐ効果もあります。

抗血小板薬

血小板の働きを抑えて血液をサラサラにする薬で、アスピリン、チクロピジンなどがあります。血栓の予防や動脈硬化の進行を抑えます。

末梢血管拡張薬

血管を広げ、手・足の末梢の血流を改善する薬で、PGE1製剤のアルプロスタジル アルファデクスなどがあります。

抗凝固薬

血小板が固まるのを抑えて血栓を予防する薬で、ヘパリン、ワルファリンなどがあります。

バイパス手術

別の血管で迂回路を作り、血流を再開させる

血液の流れが悪くなった血管に替わって、別の血管(グラフト)で迂回路を作ることで、血液の流れを再開させる手術をバイパス手術といい、主に血管外科で行われています。下肢動脈が20cm以上にわたり閉塞を起こしているときなどで実施されます。

グラフトは主に下肢の大伏在静脈を使用します。手術は足の付け根またはひざ上を5~8cmほど切開して大伏在静脈を取り出し、血流の悪くなった部分の前後につなげます。

「治療・手術について」にも説明があります

カテーテル治療

閉塞や狭窄を解消して血流を確保する

カテーテル治療は、血流が滞った下肢動脈に、カテーテルという細い管を挿入、網状の金属の筒(ステント)を広げて留置して、血流を再開させる治療です。循環器内科で行われています。

治療はバルーン(風船)がついたステントをカテーテルの先につけ、足のつけ根の血管から挿入します。カテーテルを下肢動脈まで送り、閉塞や狭窄が起こっている部分でバルーンを利用してステントを広げ、そこに固定します。その後カテーテルとバルーンを抜き取ります。

「治療・手術について」にも説明があります

  • 「治療・手術について/カテーテルアブレーション」