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診療案内

認知症に対する作業療法のとりくみ

認知症の方がその人らしく暮らせるように(=パーソン センタード ケア)という考えのもとに日々リハビリテーションを行っています。

認知症治療における作業療法の目標

[図]

認知症に対する作業療法

1.週間スケジュール

 
午前 個別活動
(散歩・音楽鑑賞・身体リハ・ホットパック・脳トレ・読書・面談等)
映画会
カラオケ
参加対象 個別介入を必要とする新規入院の方、
集団適応が難しい方、身体合併症の方など
全員
午後 軽スポーツ フリータイム
ぬりえ・音楽鑑賞
喫茶店
「まぼろし」
体操 個別活動
[写真]

2.目的別活動内容の紹介

目的 治療標的 個別プログラム
作業療法士と1対1
集団(グループ)プログラム
5名~25名程度
身体機能に対して 散歩・身体リハ 輪投げ、ゴルフ、的当て、カーリング
散歩、円陣バレー、体操
認知機能に対して ぬりえ
計算問題
漢字書き取り
習字・トランプ・かるた
塗り絵、ちぎり絵、将棋など
対人交流 作業療法士との二者関係から
開始して気分の安定を図る
回想法を用いた喫茶店「まぼろし」
調理活動、創作グループ作品
感情の安定化
心理的支持
バリデーション療法
安心できる場の提供
快刺激(音楽や足浴)の活用
カラオケ・音楽鑑賞、映画鑑賞、院外外出、リラクゼーション
現実的な刺激
脳の賦活
リアリティオリエンテーション
認知刺激療法
快刺激(音楽や足浴)の活用
屋外散歩で五感を刺激
体操、創作活動、脳トレ、調理活動
問題行動の軽減 バリデーション療法
安心できる場の提供
不安の軽減
環境作り
 

こんなときどうする?認知症の方への対応の基本

認知症の方への基本的な関わり方は「ほめる、認める」です。笑顔を引き出せる関わりを心掛けましょう。ほめられたり、認められることで認知症方の笑顔を引き出し、行動心理症状を軽減させます。「怒る・しかる」などの不快な刺激は行動心理症状を悪化させてしまいます。

こんなときどうする?BPSDの対応例

認知症の方が大声を出していたり、徘徊している状態をみて、作業療法士は「なぜ、この人はこう行動するのか?」を考えます。

本人なりの理由を考えて、治療目標を設定し、「介護上の問題点」、「本人にとっての問題点」といった課題を抽出してアプローチしていきます。

BPSDの症状に対する、観察の視点と介入例の一部を紹介します。

項目 観察する視点 介入例
~この症状にはこう対応する~
妄想 事実でないとわかっていることを信じ込んでいる。 本人の発言を否定しない。発言を受け入れてから対応することも必要です。できるだけその話題から意識をそらしたり、本人の世界観を壊さずに介助者が演じることも1つのテクニックです。
幻覚 実際にないものが聞こえたり見えたりする。 本人の発言を否定しない。発言を受け入れてから対応することも必要です。幻覚の不安を取り除いたり、一緒に確認するなどしてみるのもよいでしょう。
興奮 介助を拒んだり、扱いにくくなるときがある。 興奮している状況から、時間をあけてみたり、物理的に離れてみるなどして一度距離をとる。「~しなさい」ではなく「~助けてくれる?」と関わり方を変えてみるのも一つです。
不安 落ち着かない、息苦しさやため息、リラックスできない、過度に緊張している等の神経質さを示す。 なじみの関係を築くことが重要です。安心出来るように、そばに寄り添ったり、タッチング(肩ポンポン)、安心する場所に変えてみるのも有効です。
無関心 自身の日常生活や、他人の活動や計画に関心がなくなってきているように見受けられる。 「桜がきれいだね」など、季節の話しや地域の行事の話しなど、根気よく明るく話しかける。反応が無くても話しかけてみましょう。
異常
行動
徘徊を繰り返したり、ボタンやひも、床の模様を弄んだりなど、同じ行為を繰り返すことがある。 まず怒らない。
その行動の起きた要因を明確にしましょう。
例)盗食⇒お椀の中のごはんが認識できない
お椀の色を変えてみる
例)夜間徘徊⇒生活音がしない⇒不安
ラジオを小さい音で流す。

その他の精神症状については「精神科作業療法」のページをご覧下さい

認知症治療の基礎知識

1.中核症状とは

脳の神経細胞の障害によって起こる症状で、認知症の初期からほぼすべての方に認められる症状です。

代表的な症状として

  • 数分前の出来事を忘れてしまう「記憶障害」
  • 日付や時間、場所、人などが分からなくなる「失認や見当識障害」
  • 慣れた道具や家電の操作が出来ない、服の着方が分からない「失行」
  • 慣れた料理が出来なくなる「遂行機能の障害」
  • 物の名前が出てこない「失語」

などがあります。

中核症状によって、生活が不自由になったり、不安が募ったりするために、BPSDが現れるようになります。

2.BPSDとは

認知症の進行に伴って出現する行動や心理的な症状です。周辺症状は周囲の人の関わり方や、本人の性格などが影響して現れる為人によって症状は様々です。

  • 無関心(アパシー)
  • 妄想
  • 易刺激性
  • 不快感
  • 不安
  • 異常行動
  • 興奮
  • 脱抑制
  • 幻覚
  • 多幸/快活

ご本人のQOLやご家族の負担と言う点で考えるとBPSDによる影響が大きい事もあります。

3.バリデーション療法=受容と共感的な態度で接する

認知症の方の混乱した行動や非現実的な言葉の背後にある意味を認めて受容と共感の対応を示す手法です。受容していることを表現するために、本人の話しを傾聴し、あいづちを打つ、うなずく、相手の言葉の一部を繰り返したり、タッチング(肩をポンポン)して「あなたのことを理解していますよ」と、表現するとよいでしょう。

まずは介護者自身が平静になっていることが大切です。

4.リアリティオリエンテーション(RO法)

リアリティオリエンテーション(RO法)[写真]

「現実を正しく把握してもらう」ための介入方法です。介護者や作業療法士などの援助者が日常生活のあらゆる機会を利用して、認知症の方が自分のおかれている状況を正しく認識できるように援助するものです。日々の関わりの中で「今日は晴れていますね」「桜の季節ですね」「5月は黒船祭が始まりますね」など、対象の方の生活背景に合った現実的な会話を取り入れます。認知症の方の現実感覚を取り戻し、見当識障害の改善が期待されます。

5.認知刺激療法

5.認知刺激療法[写真]

「言葉や会話だけでなく、作業療法の活動場面で五感(見る、触る、聞く、味わう、匂いをかぐ)をフルに使い、脳の活性化や認知機能の改善を目指します。

例えば、塗り絵や習字などの創作活動、メロディーを聞いて声に出して歌う音楽活動などで脳を活性化(=賦活)する効果が期待できます。また、足湯やホットパックなどで“温かい”、“気持ちいい”と言った触覚刺激による快刺激を用いて気分の安定を図ることもあります。

6.回想法

認知症の方は新しい事を覚える記名力の低下があっても、昔の記憶、若いころの記憶は保たれていることが多くあります。回想法によって慣れ親しんだ昔を振り返ることは、いっときであっても現在の不安や混乱から解放され、「本人の良いところ」が現れやすくなります。また、作業療法では古い生活道具や慣れ親しんだ活動などを組み合わせて、記憶を引き出したり、“教える”という役割を演じてもらうことでQOLの向上を図ります。