健康と栄養の関係Relationship between health and nutrition
管理栄養士による専門的視点の栄養マネジメント
適切なカロリーで提供するために
一人ひとりに必要な食事量(カロリー)を正確に把握するには実は「身長・体重・年齢」といった情報がないと算出できません。しかし身長は立位が取れないと計測できないこともあり、多くの施設では年齢から推奨される平均値のカロリーでお食事を提供しているのが現状です。
「身長・体重・年齢」を用いると、より、その方に合ったカロリーを算出できます。
普段車いすで過ごしている方やベッドでの生活の方でもご安心下さい。当ホームでは寝たままでも身長を計測することができ、より適切なカロリーでお食事をご提供いたします。
どうしたら食べやすいのか、なぜ残したのか、を考える
毎食、食事摂取量の記録とお食事時の見守り(姿勢や食材の食べやすさ、残されている食材など)をおこなっております。食欲の低下を訴えることが出来る方でも出来ない方でも、職員が見守っているので体調不良からの食欲低下や食事形態のミスマッチングに気付くことができます。
多職種チームで一人ひとりにアプローチ
施設長をはじめ、介護スタッフ、ケアマネージャー、生活相談員、看護師、理学療法士、管理栄養士でチームを組み、ご入居者様一人ひとりについて毎週会議をおこなっております。
あらゆる視点からの気付きや問題点を洗い出し、専門的な知識と経験を用いて早期に課題を解決することで、健康と安心、そしてそれが食の楽しみにつながると考えております。
機能訓練の効果をさらに高める
![作業風景[写真]](/sono/toubu/images/facility/nutrition/fig_nutrition_11.jpg)
理学療法士による機能訓練(詳しくは機能訓練のページをご参照)が週2回おこなわれております。せっかく一生懸命リハビリをおこなっていても筋肉を作る材料(=食事)がなくては効果は得られません。
機能訓練の強度に応じた栄養管理をおこなうことで効果をさらに高めます。
日頃のメニュー
![三崎まぐろ丼[写真]](/sono/toubu/images/facility/nutrition/pht_nutrition_01.jpg)
![栗入り赤飯、天ぷら、銀鱈の紅葉焼き[写真]](/sono/toubu/images/facility/nutrition/pht_nutrition_02.jpg)
![サンドイッチ(フルーツ、カツ、玉子)[写真]](/sono/toubu/images/facility/nutrition/pht_nutrition_03.jpg)
![パエリアと骨付きチキン[写真]](/sono/toubu/images/facility/nutrition/pht_nutrition_04.jpg)
![鴨南蛮そば[写真]](/sono/toubu/images/facility/nutrition/pht_nutrition_05.jpg)
![シェフこだわりの夏野菜黒カレー[写真]](/sono/toubu/images/facility/nutrition/pht_nutrition_06.jpg)
管理栄養士コラム
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当施設のお食事紹介シリーズ⑩~新しいお食事を始めました~ 2023.04.22
こんにちは。「新しいたんぱく質コントロール食」のご紹介をします。
たんぱく質コントロール食は腎機能が良くない方にむけたお食事ですが、当施設ではおかずの量を減らして指示されたたんぱく質量を守っていたため、通常のお食事と比べると見た目が異なっていました。
そこで「低たんぱく米」を使用し、おかずは通常のお食事と同じ量でご提供することが可能となり、お食事の楽しみをなくさずお医者さんに指示された範囲内のお食事が提供できるようになりました。
既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、たんぱく質はおかずだけでなく1日3回食べる「お米」にも含まれています。そこでご飯を低たんぱく米に置き換えることでカロリーはそのままできめられたたんぱく質量を守ることができます。
これを導入するきっかけとなったのはご入居者A様の声でした。
A様は~が美味しかったよとよくお話しをしてくださる方でしたが、3月のある日食べたいもののリクエストをお聞きしていたところ、「本当は周りの人と量が違うのが気になっていて同じ量が食べたいけど身体のためにも作ってくれた人にも悪いので今のままで大丈夫です。」と初めて打ち明けて下さいました。
このことをきっかけにご家族や施設の職員と話し合いご相談後、間もなく導入することができました。
ご家族もA様は今の食事に満足しているとの認識がありお伝えした時には驚いていました。
これが実現できたのも日頃からのコミュニケーションと各部署の柔軟な協力があったからだと思います。
たんぱく質以外にも様々な制限を守りつつ少しでもお食事を楽しんでいただけるよう
職員一丸となって皆様の生活をサポートしていきますので何でもご相談ください!
実際の低たんぱく米の写真 -
運営懇談会でいただいたご質問について 2023.04.03
今年は例年よりも早く桜が咲き始め、春を早く感じられましたね。皆さんもお花見にはいかれましたでしょうか。
さて、今回は3月26日に行った運営懇談会にていただいたご質問に対してお伝えしていこうと思います。
内容は「施設の管理栄養士と厨房内の管理栄養士の違いについて」でした。
施設の管理栄養士である私は主に体重管理や皆さんがどれだけお食事を召し上がられているかといった栄養面を担当しており、厨房内の管理栄養士は厨房運営や献立作成等を担当しております。この献立に関してはよりご満足いただくために日々議論を交わしながら作成しております。
この体制をとることにより、お食事の制限や嚥下に不安がある方に少しでも楽しんでいただけるよう、個別に合わせたお食事提供が可能となりました。
また、ご健康にお過ごしいただくためには「しっかり食べること」が重要となります。
このために召し上がられたお食事量を毎日確認することで些細な変化に気づくことができ、早期にアプローチを行えるのもこの体制の強みと言えます。
4月からは制限のある方にもお食事を楽しんでいただきたく、新しいたんぱく質制限食を導入し、制限を守りながらも普通のお食事とほぼ変わらない見た目のお食事提供も可能となりました。
お食事についてお困りのことがございましたらご見学時などお気軽にご相談ください。
次回はたんぱく質制限について詳しくお伝えしていきます!
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当ホームのお食事紹介シリーズ⑨~施設のお食事紹介~ 2023.02.28
この時期になると、「今年は例年よりもはるかに多い花粉が飛散します」といった報道を耳にしますが、毎年聞いているような気がするのは私だけでしょうか・・・?
花粉症の皆さん、もう少しの辛抱なので一緒に乗り越えましょう。さて、今回ご紹介するのは旬の食材を使用した「冬のイタリアン」です。(昨年の5月には「春のフレンチ」を紹介していますのでそちらもご覧ください)
- ~お品書き~
- バターライス
- 金目鯛のアクアパッツァ
- サーモンのサラダ
- 二層のオレンジゼリー
- かぶのポタージュ
「非現実感」を演出するためにミキサー食から通常食まで誰でも召し上がることができ、見た目にもこだわった2層のゼリーをご用意しました。 そして、冬が旬の高級魚である金目鯛。
こちらをイタリアンとし、普段味わうことのできない「非現実感」を演出しました。
調理師さんによると金目鯛は大量調理に向かず、他の魚に比べてアクや臭みが強いそうで「最初の下処理が味の決め手」とのこと。
この処理を大量調理ならではの方法で行わないと料理が台無しになってしまうそうで、アクの取り除きから調味料への漬け込みまで今までの経験を活かしておいしく調理してくださいました。
野菜やハーブからクールブイヨンもとってくださり、本格的だけど優しい味わいでした。
知識が豊富でいつも「こだわりのお料理」を作って下さる調理師さん。これからも皆様に美味しく楽しいお食事をお届けしていきたいと思います。
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当ホームのお食事紹介シリーズ⑧~食事写真リニューアル~ 2023.02.13
気付けばお正月も過ぎ、すぐそこに春がせまっていますね。
そんななか、最近は本当に春が来るのかと思ってしまうような寒さが続いておりますが、皆さん体調はお変わりなくお過ごしでしょうか。
今回は上段にあります「日頃のメニュー」をリニューアルしたのでそちらのご紹介をさせていただきます。
実はこの6つの写真、「不動の1位」であるちらし寿司を除いたベスト6なのです。左上から順にご紹介していきます。
- 三崎まぐろ丼
- 三浦半島より取り寄せたまぐろをふんだんに使用しました。皆さん食べ終わるのが早く、普段の1.5倍速のような光景で少しヒヤヒヤしていました。
- 栗入り赤飯、天ぷら、銀鱈の紅葉焼き
- 敬老の日のお祝いとして提供しました。ややボリュームがありましたが赤飯はとても人気で残している方がいませんでした。
- サンドイッチ(フルーツサンド、カツサンド、玉子サンド)
- 流行りのフルーツサンドをイメージし、玉子はまろやかに手作りしました。
- パエリアと骨付きチキン
- 詳しくは12/28の記事をご覧下さい。
- 鴨南蛮そば
- 厨房業務を委託している日清医療食品さんのイベント企画として普段使用することのない鴨肉を提供しました。お肉も大変やわらかく、上質な味で入居者様も大変喜ばれておりました。
- シェフこだわりの夏野菜黒カレー
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当施設のカレーはカレールーを使用せず、粉から作られた本格カレーとなっております。
こちらは夏野菜ということで夏にご提供しましたが、夏バテを感じさせないような高い摂取率となりました。
2023年はちらし寿司を超える人気メニューの提供を目指しつつ、「安全性」にこだわったお食事提供をしていけるよう頑張っていきたいと思います。今年も施設のお食事についてご紹介していきますのでぜひご覧ください。
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施設のお食事紹介シリーズ⑦~クリスマスメニュー~ 2022.12.28
今年のクリスマスは6年ぶりに土日と重なり、例年に比べクリスマスムードを至るところで感じられたのではないでしょうか。
少し外に出ると街中がイルミネーションで飾られておりとても奇麗でしたね。
そのような雰囲気をお食事でも演出できないかと考え、「カラフルなお食事」というテーマのもと12月25日のお食事を提供しましたのでそちらをご紹介させていただきます。
- ~献立~
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- 骨付きチキン
- サーモンサラダ
- ロールケーキ苺添え
- ポタージュスープ
- パエリア
パエリアはサフランをふんだんに使用し魚介と野菜の出汁で炊き込んだため、本格的な味わいとなり普段とは異なるお食事を提供することができました。
その他にもクリスマスを感じられるよう骨付きチキンを提供し、サーモンやいちごを添えることで彩りを豊かにしました。
調理師さんから教わったのですが、パエリアはスペインのバレンシア地方発祥の料理で、本場は魚介ではなくうさぎの肉を使用するそうです。皆さんもパエリアというと、貝や海老などがのっているイメージですよね?
うさぎの肉・・・ちょっと私は食べられません。
クリスマスのあとはすぐにお正月がやって来ます。
こちらも楽しんで頂けるようなお食事を提供していけるよう努めて参ります!
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当ホームのお食事紹介シリーズ⑥~ちらし寿司~ 2022.12.02
当施設の人気ナンバーワン献立である「ちらし寿司」をリニューアルしました。
毎日継続して食事を提供している中で、人気や不人気を調査しながら飽きがこないよう日々献立の改良を行っております。
今回は皆様にお食事を楽しんで頂くことを念頭に、なかなか食べて頂けないあの食材を召し上がって頂くことを目的としてリニューアルを行いました。
あの食材とは「れんこん」です。高齢者の食生活で不足しがちな食物繊維を豊富に含んでおりますが、やわらかく調理をしても硬いというイメージによりなかなか手を付けて頂けないのが現状です。食物繊維が不足してしまうと便秘を悪化させてしまい感染症にかかりやすくなったり食欲不振にも繋がってしまう可能性があります。
そこでちらし寿司の具にれんこんを加えて提供したところ96%と非常に高い摂取率となりました。
少し話しは変わりますがひじきなども小鉢ではなかなか召し上がっていただけないため、炊き込み御飯にして提供したところほぼ全量召し上がっていただけるようになりました。
美味しく、たべやすく、栄養摂取もしっかり出来るような工夫をこれからも実践していきたいと思います。
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当ホームのお食事紹介シリーズ⑤~マカロニグラタン~ 2022.10.20
「あっちっちっ。」と調理師さんの心の声が漏れだすと、オーブンから香ばしいチーズの匂いが広がりました。それはまるで白いソースの海で「グツグツ」とマカロニ達が踊っているようでした。
今回は皆さんも大好きなグラタンをご提供しましたのでご紹介させていただきます。
暑さも落ち着いてきたこの時期につい食べたくなるグラタンですが、家で作ろうとなるとホワイトソースを作って、具を盛り付けて、オーブンで焼いて・・・正直、大変ですよね。
そんなグラタンを当施設では入居者様一人ひとりに合わせた食事形態で1つずつ丁寧に焼き上げて皆様にご提供しております。
そのため、きざみ食やミキサー食の方でも熱々のグラタンを召し上がって頂くことができます。
今回はグラタンにサラダと、コーヒーゼリー、紅茶を添えた献立でした。
実際に入居者様へお食事をお持ちすると「レストランに来たみたい」や「温かくてあっという間に食べちゃった」などたくさんの嬉しいお言葉をいただきました。
これから寒さも厳しくなり、インフルエンザなどの感染症も流行する季節となります。しっかりと食事をとり、免疫力を高めて病気に負けない身体をつくりましょう!
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~栄養状態が改善されました~ 2022.09.29
2022年も気づけばあと3ヵ月。時が過ぎるのはあっという間ですね。
私もこの施設に配属され1年半が経過しました。前回もお話ししましたが、年齢を重ねるにつれ些細なことをきっかけにだんだんと食べられなくなり、寝たきりや感染症にかかりやすくなってしまいます。
高齢者が体重1kg増やすには8000kcal必要と言われており、これを御飯に例えると普段の食事に加え35杯の御飯を食べなくてはなりません。これを知ると、一度下がってしまった体重を元に戻すことは容易ではないですよね。
当ホームでも昨年の1月から6月までの半年間で5kgの体重減少が起こってしまい低栄養のリスクが高くなってしまった方がいらっしゃいました。今回のケースでは昨年の6月から今月までで7kgの体重増加を確認できた方のご紹介をします。
減ってしまった体重を取り戻すために多職種間で協力し、その方の出身地の郷土料理の提供や食事中にお話しを伺いに行きました。しかし、食事量は下がってしまう一方で本人も食べることへの意欲が低下していました。
そこで栄養補助食品にアレンジを加え食事と供に提供し、「毎食これだけは食べてみませんか?」と提案したところ、これなら食べられるとおっしゃり、そちらは必ず食べてもらえるようになりました。本人が食べる意欲を取り戻してくれたことが体重増加に繋がりました。
私ひとりでは気づけないことも多職種チームならではのアイデアを出し合い新たなアプローチを提案することができました。どうしたら食べやすいのかと言った、まさにこちらのHPで掲げている通りに立て直すことができた好事例でした。引き続き栄養状態が改善されるよう職員一丸となり取り組んでまいります。
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ちゃんと食べているのになんだか痩せてきちゃったなんてことはありませんか? 2022.08.30
年齢を重ねるにつれだんだんと細くなってしまうお食事。そのことでお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はお食事が細くなった方でも体重低下を予防することが期待できる施設の取り組みをご紹介します。
「食べやすいようにご飯をお粥にしよう」
このようなことを介護の現場では耳にしますが、入院や食欲の低下など様々な理由からよく起こることだと思います。実はここに低栄養になってしまうリスクが潜んでいるのです。
なぜかというと茶碗1杯分のご飯(130g)と同じ栄養量(カロリー)をお粥でとるには300g食べなくてはならないからです。
当施設でもお粥を召し上がられている方は、ほとんどが200gで300gのお粥を食べられる方はなかなかおりません。
ご飯からお粥に食習慣を変えたまま過ごしていると、食事はとれているのになんだか痩せてきてしまったといったことや、立ち上がりや歩行がしにくくなったなど筋力が低下してしまう可能性が考えられます。
そこでこの差を補うため当施設では「MCTオイル」を導入しました。
これにより高齢者の低栄養予防やさらには認知症予防にも大きく期待ができます。
MCTオイルは透明で無味無臭であり、お粥にティースプーン1杯かけるだけでバナナ0.5本分の栄養量を補うことができます。
もし、何らかの理由でご飯からお粥に変更した方は1日3回お粥にMCTオイルをティースプーン1杯かけて低栄養を予防することをおすすめします。
但し、使用量を間違ってしまうと体重が増加しすぎてしまう可能性があります。ご不安な方は栄養士等にご相談下さい。
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当ホームのお食事紹介シリーズ④~夏野菜黒カレー~ 2022.08.01
皆さん、こんにちは。
今回は当ホームの人気メニューである「夏野菜黒カレー」のご紹介です。
このカレーはまるで海沿いにあるあの有名カレー店「珊瑚〇」のようなカレーであり、当ホームにおいて人気ベスト3に入っています。
実はこの夏野菜カレー、夏バテの時にピッタリのお食事なのです。ではどのような所がピッタリなのかお話ししていきます。
まずはカレーに含まれるスパイスです。カレー粉によって様々なスパイスが使用されていますが、どれにでも含まれているのがターメリックやクミンです。これには食欲増強作用、消化促進作用があり食欲が落ちやすいこの時期にピッタリです。
続いて今回使用した夏野菜の紹介です。オクラのネバネバはペクチンと呼ばれ胃の調子整えてくれます。
次に茄子ですが、大きく2つの役割があります。1つ目はカリウムによって血圧を下げたり、体温を下げてくれます。2つ目はポリフェノールが豊富に含まれており、抗酸化作用をもつので生活習慣病予防や疲労抑制にも効果があります。
最後に南瓜です。大きな特徴としては緑黄色野菜の中でもトップクラスのβカロテンが入っており、視覚機能の維持や粘膜を正常に保ち、免疫力の維持をしてくれます。今回の素揚げのように油で調理することで体内へのβカロテンの吸収率はアップします。また、皆さんがよく使用する西洋南瓜は炭水化物が多く含まれているため食べる量が少なくなった時のエネルギー補給にも向いています。
この時期は脱水症状や熱中症など起こりやすく、食欲低下にも繋がりやすくなってしまうので注意が必要です。この暑さやコロナを乗り越えるためにも食事をしっかりと食べて健康な身体を維持していきましょう!
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当ホームのお食事紹介シリーズ③~麻婆丼~ 2022.06.28
梅雨はどこに行ってしまったのかと思わせるような暑さが続いていますね。
この暑さで夏バテ気味になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この時期は様々な理由で体調の変化が表れやすいため、職員一同入居者様の見守りを強化しています。
今回は当ホームにて行われている、お食事満足度向上のための取り組みをご紹介します。
現在、毎食の摂取率を算出しており、入居者様に好まれる献立や改善が必要な献立を調査しています。施設の平均摂取率は80%前後であり、85%を目標に取り組んでいます。
今回ある一工夫により、摂取率を上昇することができた「麻婆丼」をご紹介します。以前は麻婆豆腐として提供していましたが、摂取率は66%とかなり低く、原因を追究することになりました。まず味を確かめましたが、辛すぎず美味しい麻婆豆腐であったため味以外に原因があると考え、食事中のラウンドや聞き取りを行い以下の2つのことが分かりました。
「和・洋・中に関係なく何でも箸で召し上がる方が多い。」
「ひき肉のあんの部分をうまくすくえず豆腐だけ食べる。」
このようなことが起きており、御飯に麻婆豆腐をかけることにより箸で食べる人もあんごとすくうことができるのではないかと考えました。
すると摂取率は82%まで上昇し、当ホームの人気献立の一つとなりました。
今回のようなちょっとした工夫により食事の楽しみをサポートすることが出来たら嬉しいですよね。
ご飯とおかずを一つのお皿に盛り付け、品数を減ったように感じさせることで摂取量のアップや、お粥や軟らかい御飯を準備できない時に麻婆豆腐のようなあんをかけることで食塊を形成しやすくなり、むせ込み防止効果も期待できるのでぜひお試しください。
ご入居者様の中には体調不良以外にも様々な理由で食事がとれなくなってしまう方がいらっしゃいます。
「高齢だから食べられなくて仕方ない」ということではなく、「なぜ食べることができないのか、どうしたら口から食べ続けることができるか」を介護や看護、リハビリなどそれぞれの専門分野の視点から意見を出し合い、入居者様一人ひとりに向き合っています。
介護食の相談や制限食のご相談など御座いましたら、お気軽にご相談ください!
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当ホームのお食事紹介シリーズ②~春のフレンチ~ 2022.05.19
桜も散り、夏を感じさせるような気温になってきましたね。皆さん食欲が落ちたりと体調を崩してしまったりしていませんか?
現在、全国で猛威を振るっているコロナウイルス。これによりご入居者様には感染予防対策の観点からコロナ前とは異なる心苦しい生活を送っていただいております。
そのような環境の中、当ホームでの生活を楽しんでいただくにはどうすればよいかを考え、食事のイベントを毎月開催しています。そのイベントではご当地メニューや世界のメニュー、季節感を感じさせるお楽しみ御膳などを取り入れており、ご入居者からご好評をいただいております。
今回は春の食材を使用した、食欲がそそられるお食事が提供されたのでご紹介したいと思います。
「和風フレンチ~春~」
あさりと菜の花のピラフ
白身魚のポワレ
グリル野菜
キャロットサラダ
春野菜のミネストローネ
ミニケーキ
お食事をご入居者様のところへお持ちすると「うわあ、きれい」や「何かのお祝い?」とおっしゃっている方もおり、皆様の沢山の笑顔を見ることができました。その笑顔から私自身も元気をもらいました。
また白身魚のポワレでは調理師さんに一工夫を施していただき、ビネグレットソースが手作りとなっております。
そして写真からお気づきの方がいらっしゃると思いますが、ナイフがついておりません。当ホームの食事では一人ひとりに適した食形態の食事を提供しており、食事全体を通して硬いものは軟らかく調理することや魚は骨を取り除いた状態で提供することで、どなたでも食べやすくなるよう工夫を施しております。
今後も皆様が笑顔になるようなお食事の企画をお伝えしていきますので次回も是非ご覧ください。
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当ホームのお食事紹介シリーズ①~黒カレー~ 2022.05.16
『肉じゃがで彼の胃袋をつかむ』と言われることがありますが、あれ、肉じゃがよりもカレーのほうがガッチリつかめるんじゃないかと思っている派です。
カレー、大好き!
皆さんもカレー好きですよね!?
そんなカレー好きの皆さん、そして誰かの胃袋を鷲づかみたい皆さん、朗報です!
今回は調理師こだわりの黒カレーレシピを大公開!
ご家庭にある材料にひと工夫して仕上げました。
ぜひ最後までお付き合いください!
それでは早速材料から!
- 材料(1人前)
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- カレー粉 5g
- 小麦粉 6g
- 【A】
- 人参 5g
- たまねぎ 10g
- にんにく 1g
- 生姜 1g
- サラダ油 10g
- バター 1g
- 赤ワイン 2g
- ケチャップ 2g
- ウスターソース 2g
- ブイヨン 110g(コンソメスープでも可)
- ジャム(又はママレード) 2g(どちらでも可。チャツネの代用)
- 顆粒コンソメ 2g
- 塩 適量
- 砂糖 適量
- 続いて作り方です!
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- Aをすべて細かくみじん切りにする
- 小麦粉をふるい、カレー粉を合わせる
- ふるったものを弱火で黒くなるまで炒り、煙が出たら特によく炒る(1時間半程度)
- 黒くなったら粗熱をとる
- サラダ油と刻んだにんにく、しょうがを弱火にかけ、香りが出たらにんじんと玉ねぎを加え1時間弱火で炒る
- 粗熱をとった粉と5を合わせ、バターを加え弱火で練る
- 赤ワイン、ケチャップ、ウスターソースを加え弱火で練る
- ブイヨンを足し、ジャム、コンソメ、塩、砂糖を入れ煮込んでいく
- 1時間煮込んだら味を確認し、塩で調整する
☆調理師からのワンポイント☆
材料を合わせた段階ではそれぞれの味が喧嘩しておりまだ美味しくないです。
味見は煮込んでからしてみてください。
いかがでしょうか。皆さんも是非一度お試しください!
当ホームでは『家庭の味を再現した望ましい食事』を提供しております。
食事は毎日のことであり、生活の楽しみであると思います。
お食事の時間を少しでもご満足いただくため『少し特別な食事』を演出する献立も月に何度か取り入れております。
今後もご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください!
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コレステロールは身体に悪いもの?~食事からコレステロールを下げる工夫~ 2022.05.02
今回は動脈硬化予防やお食事からコレステロールを下げることが期待できる食品を紹介します。コレステロール値を下げる効果を持つサプリメントを使用しても前回お話ししたコレステロールを増やしてしまうものをたくさん食べては意味がありませんよね。そのため普段の食事から見直していきましょう。
まずコレステロールと活性酸素が結びつかないようにする抗酸化作用を持つものをご紹介します。ぶどうなどのベリー類や赤ワインに含まれるアントシアニンとトマトに多く含まれるリコピンです。これらの食品は老化抑制にも効果が期待できます。
次に体内のコレステロールを外に出してくれる栄養素を2つご紹介します。
1つ目は魚類や貝類に含まれるタウリンというアミノ酸です。こちらは水に溶けてしまうため、生で食べれる刺身やスープなどの調理方法で召し上がって下さい。
2つ目は最近サプリメントによく使われるSMCSという栄養素です。こちらはキャベツやブロッコリーに含まれる天然のアミノ酸であり、肝臓でコレステロールを胆汁酸に変えるのを助け、コレステロールを外へ出してくれます。サラダとしてこの2つの野菜を毎日食べるだけでサプリメントの代わりになりますね。
コレステロール値が高くなる原因は運動不足や食生活以外にも病気や遺伝の可能性も考えられます。数値が高い場合はお医者さんの指示に従ってください。
最後に今回ご紹介した栄養素を一度に食べられる、施設の調理師さん監修のレシピをご紹介します。
キャベツとあさりのトマトスープパスタ
- 材料(2人前)
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- パスタ 200g
- あさり 400g(殻つき)
- トマト缶 1缶
- キャベツ 120g
- たまねぎ 40g
- にんにく 20g
- オリーブオイル 大匙2
- 白ワイン 100cc
- オレガノ 少々(なければ刻んだパセリでも良い)
- 濃口醤油 小さじ1
- ウスターソース 小さじ1
- コンソメ 5g
- 食塩 ひとつまみ
- 胡椒 ひとつまみ
- 水 500cc
- 作り方
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- あさりの殻をこすり合わせて洗い、砂抜きしておく。
- キャベツは3cm角に切り、玉ねぎは薄切り、にんにくはみじん切りする。
(キャベツは煮込むので気持ち大きめにカットして下さい) - 火にかけていないフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ弱火にかけていく。焦げやすいのでオイルから小さい気泡が出ている程度でゆっくり加熱する。香りが出てきてにんにくの色が変わったところでオレガノを加え香りを出す。
- あさり、キャベツ、たまねぎを入れ、塩をひと振りし炒め、野菜に軽く火が通ったら白ワインを入れ5分煮込む。(野菜の水分がかなり出てくるが気にしない)
- トマト缶を入れ蓋をし5分煮込み、蓋を取りもう5分煮込む。
- 食塩、醤油、ウスターソース、コンソメ、胡椒、水を加え15分ふつふつとなる程度の火力で煮込んでいく。(作る人数を増やす場合は水の量を少なく入れ様子を見る)
- 15分後味を確認し、薄いようであれば塩、胡椒で味を調える。水分が少ない場合は水を足しまた味を確かめる。
- 別の鍋を用意し、パスタを茹で時間の目安のマイナス1分茹でて硬さを確認する。
- 器にパスタを盛り付け、上からスープをかける。(パセリやブロッコリ―を添えても良い。)
ご家族にお子様や男性の方が多い場合はボリュームを出すためにベーコンなどを炒めて加えても良いと思います。
このお料理はパスタとスープを一緒に食べられることもあり、お腹も膨れるのでダイエットにもお勧めです。また、キャベツなどの野菜に含まれるビタミンやカリウムなどのミネラルは水に溶けてしまうのでスープとして食べることで栄養素を逃さず食べることができます。さらに、キャベツに含まれるビタミンCは芯の部分に多く含まれるため、ぜひ芯も一緒に召し上がってみてください。
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コレステロールは身体に悪いもの? ~2つのポイント編~ 2022.04.12
前回、コレステロールの恐ろしさについてお話ししましたが、今回は上手に向き合うポイントを2つご紹介していきます。
1つ目は運動です。運動といわれると荷が重いと感じる方でも簡単に始められる方法をご紹介します。まずは1日の歩数を万歩計や携帯のアプリにて確認するところから始めましょう。歩数の目標は厚生労働省のアクティブガイドから1日8千歩とされています。そのためそれを目指しましょう!と、言いたいところですが私もそこまで歩けません。まずは普段プラス10分歩くことから始めましょう。歩幅は人により違いますが、10分歩くことで約1000歩になります。日々の運動は認知症の予防や、骨折予防にもなり、善玉コレステロールも増えるのでいいことばかりですよね。天気の良い日に行えば気分もよくなるのでぜひ行ってみてください。
2つ目は食事です。体内のコレステロール量を増加させてしまうものは飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、多量の炭水化物であり、これらと上手な向き合い方をご紹介します。
まず炭水化物ですが、3つの意識を持ってください。1つ、丼やラーメンは大盛りにしない。2つ、麺とお米を一緒に食べない。3つ、お酒は普段のマイナス1缶減らす。これらを意識しましょう。
続いて飽和脂肪酸とトランス脂肪酸ですが、何に多く含まれているのかイメージわきませんよね。この2つは日本人の食生活では問題ないとされておりますが、個々の食生活により気を付けなければならない方もいらっしゃるかもしれません。そこで気を付けて頂きたい食品を画像で紹介します。
これらの食品は飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多く含まれており、高カロリーでもあるため食べる頻度が高い方は注意して下さい。シュークリームなどのスイーツはコレステロール自体も多く含んでいるので召し上がる量には注意して下さい。
以上2つのポイントをご紹介しました。ほんの少し意識を変えるだけで健康は手に入れることができるので、自分にできそうなことから実践してみて下さい。
次回、サプリメントではなく食品からコレステロールを下げる工夫をお伝えします。
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コレステロールは身体に悪いもの?~コレステロールの正体と恐怖編~ 2022.04.04
「人生の中で経験したことない内側からえぐられるような痛みが来た・・・」
これは昨年、心筋梗塞で突然倒れた私の父の言葉です。ある日突然襲われる心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなるコレステロール高めの状態。
皆さんも人間ドッグでコレステロール高めですといわれた覚えはありませんか?
そういわれるとつい卵を控えたりと、コレステロール自体を控えがちですがそれよりも気を付けて頂きたい事があります。ですが、まずはコレステロールとは何者なのかとコレステロールの怖さについてお話しします。
コレステロールは細胞膜やホルモン、脂質の消化吸収に必要な胆汁酸の材料となります。
体内のコレステロールには食事から摂取されたものと肝臓にて作られるものがあります。
食事から摂取されたコレステロールは十二指腸で胆汁酸に包み込まれ、小腸から体内へ吸収されます。その後、特殊なたんぱく質と合体し体の中を移動して肝臓まで運ばれます。
なぜコレステロールは特殊なたんぱく質と合体するかというと、コレステロールのままでは身体の中を移動することができないためです。そして、その特殊なたんぱく質の種類によってそれぞれ名前と役割をもち、その中に「HDLコレステロール」、「LDLコレステロール」という種類があります。前者は体の様々な所からコレステロールを回収し肝臓へ戻すため「善玉コレステロール」と呼ばれ、後者はコレステロールを肝臓から体全体に運ぶため「悪玉コレステロール」と呼ばれています。悪玉とはいえ、体全体にコレステロールを運ばなくては必要なところでコレステロールが足りなくなってしまうため、必ずしも悪者ではないのです。しかし、体内で必要以上に増えてしまうことで血中の活性酸素と結びつき過酸化脂質となってしまいます。それが血管の壁に蓄積していくと動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などを誘発してしまうのです。
ではその「LDLコレステロール」と向き合うにはどうしたらよいか。大きくポイントは2つあります。そのポイントについては次回お話ししていきますのでそちらもご参考にして下さい。
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アミノ酸・たんぱく質とは 2022.02.28
皆さん、サプリメントのCMなどで「アミノ酸」という言葉をよく耳にしませんか。
今回はそのアミノ酸についてどのようなものなのかお話ししていきたいと思います。
アミノ酸はたんぱく質の素であり、50個以上のアミノ酸が鎖状に連なることでたんぱく質となります。人間の身体は20種類のアミノ酸から構成されています。その20種類のうち、体の中で作り出すことのできないものを必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)と呼び、9種類あります。一方、残りの11種類は体の中で作り出すことができるもので、非必須アミノ酸(可欠アミノ酸)と呼ばれています。
その必須アミノ酸が1つでも不足すると、体の中でたんぱく質を作ることができなくなり、肌のトラブルや免疫力の低下、低栄養などに繋がってしまいます。
下図1.2をご覧ください。体の中の必須アミノ酸を樽に置き換え、その中の水を体の中で産生したたんぱく質と仮定して説明します。図1は必須アミノ酸が充足している状態であり、樽に高さがある為、水がこぼれないようになっています。
一方、図2は必須アミノ酸の1つであるリジンが不足した状態の体を表しており、樽の一遍の高さが低く水がこぼれてしまっています。両者を比較すると必須アミノ酸が1つ不足することにより身体の中で産生できるたんぱく質量も少なくなってしまうことが分かります。
では、不足しないようにするには「何を」「どのくらい」食べればよいかご紹介します。
まず、「何を」についてです。
必須アミノ酸を食事から補給するには卵、乳製品、魚、肉、豆製品の食材を組み合わせて1日3食摂取する事です。
例えば、お米はリジンが不足しています。そのためリジンを豊富に含む納豆を一緒に摂取することによりたんぱく質を体の中で作りだすことができます。(肉や魚を一緒に食べても問題ありません。)また、牛乳や卵は特に含有しているアミノ酸のバランスが良いとされている食品です。
続いて「どのくらい」についてです。
献立を考える際の目安をご紹介致します。たんぱく質量は肉や魚などの種類によって前後しますがおおよその含有量をご紹介します。
魚1人分(70g) :約12~15g 肉1人分(100g) :約15~20g 卵1つ(Mサイズ) :約6g 牛乳1杯(150㏄) :約5g 納豆1人分(50g) :約8g - ※魚や肉のたんぱく質量は脂身の多い部位であればあるほど少なくなってしまうので注意して下さい。特に牛肉は100gあたり12gの部位もあります。
ここで肉100gってどれくらい?と思った方にちょっとしたコツをご紹介します。
卵1つで肉50gの量を推測することができます。Mサイズの卵は1つ50~60gほどの大きさであり、その卵と肉の大きさを比較することでおおよそのグラムを知ることができます。ぜひご活用下さい。
最後に、たんぱく質を1日にどのくらい摂取するべきであるかについてです。厚生労働省より推奨される量は年齢や性別によって異なりますが、1日あたり何グラム摂取すれば良いか下表にまとめましたので参考にして下さい。
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はじめまして 2022.02.16
はじめまして、管理栄養士の前(まえ)と申します。
こちらのページでは管理栄養士の視点で食事や健康にまつわること、時には管理栄養士のひとりごとの様な日常的なことまで、様々な情報を発信していきます!
まずは簡単ですが自己紹介を…。
私は学生時代、野球部でピッチャーをやっておりました。
怪我に苦しんだ経験から怪我をしにくい身体作りをするには食事であると考え管理栄養士を目指しました。
当然ですが食べることは生きていく上でとても大切なことであり、楽しみな時間でもあります。その当然が欠けることのないよう、野球で培った一球入魂の気持ちを毎食のお食事に添えて、楽しく健康でいられるお食事を皆さまへご提供いたします。
どうぞよろしくお願いします!