低侵襲心臓手術センター

手術実績

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
冠動脈バイパス術 2 3 16 22 28
弁膜症 1 3 14 31 27
先天性心疾患 1 1 1 0 1
大動脈 0 3 1 1 25

大和成和病院 低侵襲心臓手術センターで行っている代表的な手術

MICS CABG(Minimally Invasive Coronary Artery Bypass Grafting) 狭心症や心筋梗塞に対する低侵襲冠動脈バイパス術

胸骨を完全に温存して冠動脈バイパス術を行います。

1990年代にMIDCAB(小切開開胸下心拍動下冠動脈バイパス手術)の技術が確立され、1本の冠動脈(左前下降枝)を左小開胸で人工心肺を用いずに治療できるようになりました。

この方法では複数の冠動脈病変の治療は、あまり行われていませんでしたが、2000年代半ばより、ニューヨークのStaten Island大学とカナダのOttawa大学で、上行大動脈への血管吻合技術が確立され、複数の冠動脈病変に対する左小開胸(MICS)による冠動脈バイパス術(CABG)が広く行われ始めました。

この新しい技術はMICS-CABG(低侵襲冠動脈バイパス術)と呼ばれ、除々に世界中に広がっています。MICS-CABGでは1本の冠動脈に対する治療も行いますが、傷の位置の変化や、縫合する血管(内胸動脈)を全長にわたって採取できるようになるなど、従来のMIDCABが大幅に改良されて行われています。

北米で確立されているMICS-CABG は人工心肺をしばしば使用する必要があり、右内胸動脈という重要な血管を使用できないという問題点がありますが、当センターでは従来の冠動脈バイパス術の長所を損なうことのないように、更なる工夫のもと、人工心肺を使用しないことと、可能であれば右内胸動脈を使用することを目指しています。

従来から行われている冠動脈バイパス術の質を変えずに、より低侵襲で行うMICS-CABG(低侵襲冠動脈バイパス術)を全国に先駆けて行っております。

方法

全身麻酔下で左小開胸を行います創は8~10センチ。女性であれば左乳房の下、男性であれば左乳頭の少し下になります。内胸動脈の採取、バイパスの縫合など、従来の心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB: Off-pump CABG)をMICS専用の特殊な機械を用いることにより、左小開胸から行います。「究極の低侵襲冠動脈バイパス術」を目指しています。

成績

現在(2014年7月)まで当院で30人の患者さまに対してMICS CABGが行われました。

MICS CABG(冠動脈1本治療)とMIDCABの違い

冠動脈バイパス術では、冠動脈病変の下流(酸素が行き渡らない虚血心筋)に新しく血管(バイパス)をつなぐことにより心筋への酸素を充分に供給できるようにします。

従来のMIDCABでは、バイパスに使用する左内胸動脈という動脈血管を十分に長く採取できないという欠点がありました。これに対してMICS-CABGでは傷をもっと側方に置き、内胸動脈を全長にわたって見渡し採取できます。この違いが採取する内胸動脈の質、結果的にバイパス術の質を高めると考えています。

他の利点として、傷が側方になり痛みや創部トラブルは少ないと言われています。

心臓弁膜症に対するMICS(低侵襲心臓手術) 大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症・狭窄症、三尖弁閉鎖不全症などの病気に対する小切開低侵襲手術

心臓の弁膜症の患者さまにも、小さい傷で行う低侵襲心臓手術(MICS)を行っております。

方法

胸の真ん中の骨(胸骨)を部分的に切開して手術を行う方法(胸骨部分切開法)と、右胸を治作切開して開胸により手術を行う方法(右側開胸法)があります。それぞれに適している疾患(弁膜症)があります。

胸骨部分切開法:
大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、僧房弁狭窄症・閉鎖不全症三尖弁閉鎖不全症 また、これらの病気が合併した場合に適しています。胸骨部分切開法では2つの弁にまたがる治療、複合手術も可能です。
右開胸法:
僧房弁狭窄症・閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症に対しての手術特に単一の弁膜症の治療に適しています。
この手術方法(MICS:低侵襲心臓手術)の良いところは
  1. 傷が小さいこと
  2. 痛みが少ないこと
  3. 回復が早いこと、社会復帰が早いこと
  4. 輸血を行う患者さんの割合が少ないこと

などがあげられます。

ステントグラフト内挿術(胸部・腹部大動脈瘤に対する血管内カテーテル治療)
  • 胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)
  • 腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)

現在も行いますが、腹部大動脈瘤に対する治療法の基本は手術治療です。

しかし、ご高齢な患者さまや他のご病気をお持ちで体力が無いような患者さまに対しては、手術治療は体への負担がとても大きなものとなることがあります。そのような患者さまに対しては、従来の開腹や開胸による手術に代わり、ステントグラフト内挿術というカテーテルによる血管内治療法を実施します。体への負担が少なくとても良い治療法です。

EVARとは"endovascular aortic repair"といい、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療のことをいいます。TEVARとは"thoracic endovascular aortic repair"胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術をいいます。英語表記では名前が違いますが、日本語はどちらもステントグラフト内挿術です。

ステントグラフトは腹部大動脈瘤の治療のために用いるもので、金属でできたステント(バネ)に薄い人工血管がついており、ステントグラフトの外に血液が漏れないように作られています。血管の内側から動脈瘤のある大動脈を補強して、破裂を予防する新しい治療法です。

ステントグラフト治療では多くの利点があります。

ひとつめの利点は、患者さまの体への侵襲(負担)が少ないことです。

鼠けい部(足の付け根)に傷はつき、肘の動脈に細いカテーテルを挿入しますが、基本的にはそれだけですべての操作や治療が終了します。お腹や胸を開けることはありませんから翌日からご飯を食べ、歩くことができます。

2つめの利点は、体への負担が少ないので、手術などに対するリスク(危険性)が高い患者さまでも、手術に比べて安全に治療を受けることができる点です。

3つめの利点は、社会復帰が早いことです。鼠けい部の傷が治ればほぼ術前に戻ります。お腹や胸の傷もありませんから、力を入れても大丈夫です。

大和成和病院ではステントグラフト内挿術をハイブリッド手術室で行っています。

ハイブリッド手術室はカテーテル室と手術室の良い所を合体させている最新の手術室です。手術室の基準を満たした清潔管理を行い、かつカテーテル治療と手術治療の両方が同時に行える手術室です。